今年度の住宅講演会は『和の住まい推進リレーシンポジウムin広島』として、講師に手嶋保氏をお招きし、12月17日(日)に開催します。
身体スケールからデザインされた空間や、詳細なディテールなど、先日、見学に行った三秋ホールとアトリエでは、手嶋氏ならではの飾らない高い空間の質を感じることができました。そうした建築を生み出す思想や設計手法などを学びたいと思います。
「伊部の家」原図集や、「住宅設計詳細図集」などを読み込んで参加されることをおすすめします。
会場はいつもと違うYMCAです。お申込みはQRコード又は広島県建築士会HPからどうぞ。
『みんなでつくる中国山地004号』に、「木と土の住まいづくり」と題して寄稿させていただきました。伝統に生きる大工として、これまでの経験、今考えていること、これからのことなど綴ってみました。そのほか、『住まう』をテーマに中国山地で暮らしている人たちの取材記事がたくさん掲載されています。
現在進行形の中国山地の姿を取材した内容で、年1回発行で100年続けることを目標としています。貴重な記録になると思います。ぜひお買い求めに上、ご一読ください。
山口県の高月工務店さんが「木と土の家」づくりで提携してもらえることになりました。
昨年は島根県の増田住建さんと協力して1棟建築出来ました。少しずつ隣県の工務店と連携が深まることを嬉しく思います。
「木と土の家」は伝統構法の家に現代で求められる省エネ性能を付加した住まいです。LCA(ライフサイクルアセスメント)に注目してください。省資源でエコな素材で建てる伝統構法の住まいは高い持続可能性を持っていますが、反面、現代の暮らし方では、多くのエネルギーを消費していまいます。「木と土の家」は、建築時、運用時、廃棄時において高い省エネ性能を有しています。
広島、島根、山口で伝統的な自然素材を生かした住まいに興味のある方はまずは一度ご連絡ください。
以下は高月工務店の川村 貴志さんが先日見学に来られたときにブログです。川村さんのリサーチ力と分析力はすばらしいなと感心します。内容もわかりやすく面白いのでぜひ読んでみてください。
【熊野町の家】
古民家の耐震改修のために、「限界耐力計算」による構造計算を行いました。
🔳限界耐力計算とは
古民家は木組や土壁の粘り強さによって地震力に対応します。「限界耐力計算」とは建物の復元力を計算して、変形量である「層間変形角」を求めることです。この「層間変形角」が安全限界以下になるよう耐震補強をします。古民家の耐震補強は、建物の耐震特性に合わせて粘り強くすることが重要で、今回は「荒壁パネル」50枚と「仕口ダンパー」10個を使用します。
構造計算は広島の「イシクラカズヒロ構造アトリエ」へ依頼しました。以下は主な計算結果です。
・地盤は、J-SHIS Mapより第1種地盤
・改修後の目標クライテリアは層間変形角1/30以下
・偏心率X方向0.07、Y方向0.01でRe≦0.15
・層間変形角X方向1/40、Y方向1/39で1/30以下
以上により「極稀地震(震度6強)に対して倒壊し、又は崩壊する危険性が低い」という判定結果となります。これはつまり、「安全目標を1/30(階高を3mとすると変形量10㎝)以下に設定して、震度6強の地震が起こっても変形は1/39(変形量7.7㎝)までです。」という意味です。
【海田町の家】
墨付けを開始しました。まずは柱の番付けから。
1本1本柱の表情やクセを見ながら決めていきます。
1本ずつ転がしながら見ていくことで、いろいろなことが手から伝わります。
急峻な山で育った日本の木は、個性が強く、建築材料としては均一でなく欠点となりますが、
そこが木の家の面白さです。
丈夫な住まいとなるように木と木を組み合わせていきます。
1本ずつ木を大切に使うことで長持ちする住まいとなります。
消費物でなく価値ある建物にするために、これからの日本の住まいに必要なことだと感じています。
明けましておめでとうございます。
写真は昨年に島根県邑南町に完成した”越し屋根のある家”です。
石州瓦を使い、光と風を取り込む越し屋根を設けました。
今年も自然素材と手仕事を生かした住まいづくりに取り組んでいきます。
本年もどうぞよろしくお願い致します。