JIA建築家大会2014岡山で開催された伝統構法の設計法についての報告会に参加してきました。国交省により2010年に検討委員会が設置され、今年で5年目となります。現行の建築基準法には伝統構法についての基準が記載されていないため、構造計算に限界耐力計算や適合性判定が必要で、建築確認にとても時間と労力がかかるのが現状で、伝統構法で住宅を建てる場合の大きな障害となっていました。この状況を打開するために検討委員会では、これまで、たくさんの実験やイベントを開催してきました。私もこれまで、2011年の意見交換会や2012年の実物大の振動実験に参加してきて、伝統的木造建築がこれから国の法の中でどのように扱われるのか興味深く見守ってきました。
今回の報告会では、現在の建築基準法における在来構法と同じような手順によって、伝統構法を計画できるように設計法がまとめられていました。つまり、現行の4号建築物相当の建物であれば、標準設計法を使い、壁量計算のように簡易に構造計算が行えます。また、伝統構法の特徴であるホゾや貫、差鴨居などの耐力を加算できるよう工夫されています。柱脚固定や剛床仮定を前提条件としていないなど、伝統構法を設計する上で、かなり使いやすいものとなっていました。
検討委員会のこれまでの活動により、伝統的木造建築の特性がかなり解明、検証され設計法の原案ができたことは、とても大きな成果だと感じました。これからさらに設計法の検討、改善が進み、建築基準法に伝統構法の枠組みが追加されることを心から願っています。